マインドパレス

努力目標:月イチ投稿

私の命は誰のものか

研究室時代にお世話になった大学の先輩が他界した

非常に真面目で、しかしユーモアもある方だった
いつも遅くまで研究室にいて、睡眠時間を削るような生活に少し心配になったのを覚えている

訃報を知らされたときは全身の力が抜けてなにも手につかなくなった
何週間か体が重かった
身近な人を亡くしたのは初めてだったから、他者の死がこれほどまでに自分に影響を与えるなんて想像していなかった

このとき初めて、自分の死が同じように他者に影響を及ぼす可能性に思い至った
それまでは自分の命に対する自己決定権は当然あるものと考えていたけれど、
人の死は残された人を深く傷つけるということを、身をもって思い知った

自由は、他者に危害を加えない限り認められる
自己決定権にもこの原則は当然適用されるのだろう
自分の死が他者を加害する可能性に気がつき、私は自分の命に対する自己決定権を失った

私の死を悲しむ人がいる限り、私の命は私だけのものではない
私が自己決定権を再び手にするのは、身近な人が誰もいなくなったときなのだろう