マインドパレス

努力目標:月イチ投稿

ライブ記録 2024

4月 / サカナクション - SAKANAQUARIUM 2024 "turn" @ 幕張メッセ

cf.sakanaction.jp

Vo. 山口一郎が復帰して初めてのツアー

サカナクションはコロナ禍で過去のライブ映像を配信していて、それを当時大学生だった私は寮の電気を消してノリノリで観ていた
だからなのか、turn は初めて行くサカナクションのライブだったのだけれど、まるで久しぶりに見に来たアーティストのライブのように思えて初めてな気がしなかった

ネイティブダンサーのクラップもちゃんと叩けたしね

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参加した幕張メッセ公演はアリーナの後ろの方であまりちゃんと観れなかったから、後日ABEMAで配信されたピアアリーナ公演も観た
こちらは大きなサカナクションを観ることができて、演出も音響も MC もじっくり堪能できた

観終わった後はいろいろな感情が込み上げてきて少し放心していた
込み上げてきた感情はうまく言語化できなかったので、今はもう詳しい感想が書けないのがもどかしい

これからは無理やりにでも言葉にして記録に残したほうがいいかもしれないな
後で書きたくなったときに困らないように

10月 / MO MOMA - Polygon-Pop-Paradise @ 下北沢THREE

Polygon-Pop-Paradise | shimokitazawa THREE

出演は MO MOMA、Ghost like girlfriend、Cwondo

目当てだった MO MOMA は、以前ラジオで Roll を聴いて、エレクトロでかっこいいトラックとポップで瑞々しいメロディに一耳惚れしたのがハマったきっかけだった

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MO MOMAの活動拠点は関東で、当時私は関東在住ではなかったのでライブに行く機会がなかった
引っ越してからはずっとタイミングをうかがっていて、主催のこのライブを見つけたときは「来た!」と思った

共演した Ghost like girlfriend、Cwondo も良かった
Ghost like girlfriend は MO MOMA バックバンドで全知全能を披露

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Cwondo は音源を聴いただけでは想像できないようなえぐいパフォーマンスをしていて、どっちもライブの醍醐味だなと思った

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そしてラストの MO MOMA
セトリめちゃめちゃよかった

まあ全曲好きだからどんなセトリでも最高なんだけど

10月 / Showmore - Liquid City @ Liquidroom

アルバム liquid city のリリースツアー

showmore 聴いている人とリアルで会ったことがなかったから、満員の Liquidroom を見て今までどこにいたんだと思った

Liquidroom は初めて来たけれど、音響がとても良くバンドのアンサンブルが心地よかった
根津さんのボーカルはライブだと音源で聴くより力強い印象を受けた
素敵なボーカルだ

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このライブの少し前に個人的な悲しい出来事があって、ぎりぎりまで行くか行くまいか迷っていた
結局当日も葛藤しながら会場に向かったのだけれど、始まった演奏はとても素晴らしく、それまでずっと抱えていたネガティブな感情をライブの間は忘れることができて、自分には気分転換が必要だったのだなと思えた

歌は良いね。歌は心を潤してくれる。人間の生み出した文化の極みだよ。

12月 / 竹内アンナ - The Best Dramas @ Zepp Shinjuku

竹内アンナはラジオでパワープレイされていた All Right を聴いてハマったのだった
新しくアーティストを好きになるきっかけはラジオが多いかも*1

竹内アンナは随所にブラックミュージックの影響が感じられてとても好き
BREAK MY CASE のベースラインとかとても気持ちいい
あと単純に同年代だから応援したくなる

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ツアータイトル The Best Dramas の通り、セトリはアルバム DRAMAS と今までのベスト選曲から
私のように初めて来た人にも優しいセトリだった

ライブに行って驚いたのが想像よりファンの年齢層が高めだったこと
正直始めは少し萎縮してしまったけれど、何曲か聴いていると手を上げたくて仕方なくなり、萎縮しているのが馬鹿らしくなってそれからはずっと体を揺らして手を上げていた
ライブあるある

それにしても、確かにファンクやソウルを聴いてきた世代に受けそうではあるとはいえ、もっと若いファンが増えてもいいのに

知り合いに布教していこうと思った

*1:自分から探さなくても耳に入ってくるから、先入観なく聴けて琴線に触れる曲を見つけやすいのだと思う

【読書記録】森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』

いつも京都が舞台の森見登美彦作品なので、てっきりホームズが京都に訪れる話なのかと思って読んでみれば、
寺町通221B」
......そうきたか

本作は推理小説ではなく「もしシャーロック・ホームズの舞台がロンドンではなく京都*1だったら」というファンタジー小説

会話劇が本当に愉快で、ホームズやワトソンという原作から魅力的だったキャラクターたちと森見節の相性はかなり良いらしい
「京都警視庁(スコットランドヤード)」や、おなじみの「詭弁論部」など、森見作品のユーモアも相変わらず健在

ただ、推理小説ではないのでタイトルからミステリを期待して読むと「思ってたのと違う......」となるかも

当たり前かもしれないが、本作を一番楽しめるのはシャーロック・ホームズの知識がある森見ファンだろうなと思う

*1:もちろん、森見作品のファンタジー京都である

Everything Everywhere All at Once

観た

エストポーチでヌンチャクアクションするシーンだけ知っていたけれど、蓋を開けてみるとマルチバース物のがっつり SF だった*1

youtu.be

......と思いきや、真のテーマは子離れだった

登場人物の一貫性はあまり感じられなかったけれど、設定やアクションは面白かった

印象的なシーンはマルチバースのエヴリンをコマ送りで重ねるところ
映画館で観たかったと思わせる映像表現だった

ジョイかわいい

*1:なんとなくトータル・リコールを感じた

最近観た映画 (ネタバレあり)

どれも面白かったのでその記録
主に自分で見返すための備忘録なので作品を観ている前提なのは悪しからず

1. ロボット・ドリームズ

https://klockworx-v.com/robotdreams/

パブロ・ベルヘル監督のアニメーション映画

1980年代のニューヨークで孤独に暮らす若者 (?) ドッグが、通販番組で偶然目にした友達ロボットを購入するところから始まる
台詞はなく、効果音とキャラクターの息遣いや、Earth, Wind and Fire の名曲 September をはじめとする当時のヒットソング、そしてジャズピアノが印象的な劇伴で彩られている

出会いと別れというありふれたテーマなのだが、ドッグとロボットのキャラクターの描き方がとても丁寧で物語に没入できる

素晴らしいと感じたのが、台詞がないため心情描写をすべてジェスチャーで表現しているところ
特に瞳の芝居だが、

  • ビーチで日が暮れて寝転がっているロボットに対してドッグが「帰ろうか」と出口をちらっと見るシーン

  • 動かなくなったロボットを必死に運ぼうとするドッグに対してロボットが「僕は放って行きな」と出口をちらっと見るシーン

  • ロボットと離れるのが寂しい小鳥の子供に対しロボットが「行きな」と空をちらっと見上げるシーン

どれもとても印象的で、特にロボットの方は見送る側だから別れを促す優しさに余計に切なくなる

ビーチで別れたドッグとロボットはそれぞれ新しいパートナーを見つけるのだが、これが本当に人生だなあというような展開で二人 (一匹と一台?) のその後の幸福を願わずにはいられなくなる

あと、ドッグは作中で何度も失敗して、かけがえのない友人をなくしたり痛い目を見たりと割と散々な目に合う
けれど、物語後半のティンとのやり取りでは、数々の失敗を経て思いやりのある気遣いができるようになったことが見て取れ、これも人生だなあと感じる

まさに珠玉のヒューマンドラマ
人間出てこないけど

それと人生で初めてミニシアターに観に行った映画というのも個人的に印象的
ミニシアターいいですね

2. 侍タイムスリッパー

www.samutai.net

安田淳一監督

幕末の侍が京都太秦の時代劇製作所にタイムスリップし、切られ役として役者を始めるという物語

あらすじを読んだだけだとなんだかその後の展開も読めそうではあるのだが、実際に見てみると当初の期待を何度も大きく超えてくるとても気持ちの良い映画

主人公の高坂新左衛門がタイムスリップしてから、切られ役を志すまでとんとん拍子に進み、この映画の主題は芝居にあるのだなと比較的早く理解できる
タイムスリップものにありがちな文化の違いに戸惑うというシーンも最低限に留められていてシナリオを追いやすい
主人公のタイムスリッパーとしての挑戦はあくまで芝居に関するものに徹底されていてテーマへの誠実さを感じた

この映画はとにかくキャストが良い
主演の山口さん、冨家さん、沙倉さんの素晴らしさは言うに及ばず、殺陣師関本役の峰さんの自然な貫禄には見入ってしまった

そして演出も良い
ここから面白いシーンが来そうと思ったら必ず面白いシーンがやって来る
それも毎回期待を超えて
エンタメってまさにこういうことだなと思う

見終わった後高密度のエンタメを浴びた多幸感に包まれる映画

3. ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

ポール・ジアマッティ監督

この映画は劇場では観ていないのだが、配信で後追いで観てとても感動した

舞台は70年代アメリカ、ニューイングランドの寄宿学校
クリスマスに家に帰れなくなった青年アンガスとベトナム戦争で息子を亡くした料理長メアリー、そして嫌われ者の古代史教師ハナムがクリスマス休暇を寄宿学校で共に過ごすという話

こういうストレートなヒューマンドラマは大好物
ラストのハナムの

You can do this.
(君なら大丈夫)

とアンガスの

Yeah, I was gonna tell you the same thing.
(あなたもね)

には本当に胸が熱くなるし、負けてられないなという気持ちになる
この記事も、ほとんどホールドオーバーズを観終わった衝動で書き殴っていると言っても過言ではない

ショーシャンクの空に最強のふたり英国王のスピーチとかと同じ枠の、折に触れて観返したい映画になった

【読書記録】斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』その2

私の自傷的自己愛の原因は小学生の頃の対人関係であると思われる

私は幸運にも勉強が嫌いではなかったため学校での成績が良かった
一方で、同じ頃に地域のサッカークラブに通っていたのだが、そこでは私は一番下手でコーチ陣やチームメイトからはいつも叱責を受けていた

興味深い点は、否定的な評価を肯定的な評価より本質的であると認識することである
例えば、学校で教師やクラスメートに褒められても、この人たちは本当の自分(サッカークラブで足を引っ張っている"悪い"自分)を知らないのだという気持ちになって、相手の称賛を素直に受け止めることができなくなった

このような環境に何年もいると、なるべくして良い自分と悪い自分に分裂した自己認識が固定化される

かくして、「私は他者からの称賛に値しない恥ずべき内面を備えた人物である」という歪なアイデンティティを確立するに至った

さらに、他者からの「優秀ですね」という評価は、完璧主義的な気質と結びつき、「優れた人間であることを期待されている」という薄っすらとした強迫観念とも言えるプライドへ変わっていった

様々な挫折を経てプライドはいくらかマシになった(と思いたい)が、未だに人格に対する完璧主義は残り続けている
それどころか、年齢を重ね社会性を獲得するにつれて、「善くあらねばならない」という思いはむしろ強まりつつある

この「善くあらねばならない」というプライドに対して、「恥ずべき内面を備えた人物である」という自己評価は余りにギャップが大きく、今に至るまで齟齬をきたし続けている

この認知的不協和を解消するために自己否定を行うことが、まさに著者の言う自傷的自己愛のメカニズムなのだろう

gorgonzolax.hatenadiary.jp

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【読書記録】斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』その1

タイトルをひと目見てこれは他人事ではないと思い購入した

一見矛盾しているようにも思える「自傷的自己愛」とは何か
本書ではその特徴として以下を挙げている

  • 自分自身を激しく罵倒する

  • 「自分が無価値な人間であるということに関しては、自分がよく一番知っているのだから、何人にも否定されたくない」という信念ないし確信を持っている

  • ふつうは環境から満たされるはずの自己愛が満たされないまま、「自分はダメだ」という真剣な悩みを抱えている

  • 自分自身について、あるいは自分が周囲からどう思われるかについて、いつも考え続けている

つまり、自分自身について考え続けるという強い自己愛を持っているが、その考えが常に自己否定的、即ち自傷的であるものを自傷的自己愛と定義している

まさに私のような人間のことである
メタ認知が捗るよい本と出会えた

gorgonzolax.hatenadiary.jp

対人不安と自己開示の逆説

自分に対して心を開いてくれた相手に、こちらも対人不安を自己開示すべきか

打ち明けなければ、親密になろうと歩み寄ってくれている相手に対して自分は心を閉ざすことになる
関係は続くかもしれないが、親密さは得られない

打ち明ければ、「あなたを含む他人と一緒にいたくないです」という意思表示と捉えられるかもしれない
関係は続かず、親密さは得られない

どちらにせよ親密さは得られないので、自分に対して好意的な相手と関係を続けられる「自己開示しない」のほうがよい